【駅弁レビュー】「えび千両ちらし」

【駅弁レビュー】「えび千両ちらし」

JR東日本の駅弁No.1に輝き、TVや雑誌での掲載数々、絶賛する著名人も多数!

  • 名称:「えび千両ちらし」

    価格:1,300円(税込)

    販売駅:新潟駅 東京駅など

    入手場所:東京駅「駅弁屋 祭」

    販売元:(株)新発田三新軒

     

    項目

    内容

    ジャンル:

    寿司系

    味の濃さ: 薄ー◆ーーー濃
    甘辛度: 甘ー◆ーーー辛
    全体量: 少ーー◆ーー多
    飽きにくさ: 飽ーーー◆ー良
    コスパ: 悪ー◆ーーー良
  • 言わずと知れた有名駅弁。数ある駅弁大会や人気投票でも1位を獲得するなど、非常に話題性の高い弁当である。

    新潟駅以外でも各地の駅弁大会や東京駅で入手可能ではあるが、販売数に限りがあるため、早い段階で売り切れとなる。食べたければ、午前中には手に入れておきたいところだ。

    価格は1,000円超えとリッチな弁当である。パッケージについては後述するが、取り外せる絵ハガキに水墨画風のイラストが描かれている。外装は紙製で弁当自体はプラ容器に収まっている。

では、さっそく外観からみていこう。


  • パッケージ左側面は無地だ。右側面には原材料名などの記載がある。原材料名は下記のとおり。

    ~原材料名~

    寿司飯(新潟県産米使用)、玉子焼き、うなぎ、いか、こはだ、えび、くるみ、甘酢生姜、とろろ昆布、干瓢、発酵調味料、還元澱粉化物、ぶどう糖果糖液糖、調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル色素、紅麹色素、クチナシ色素)、増粘剤(加工澱粉、増粘多糖類)、甘味料(ステビア)、酸味料、香料、酒精、[原材料の一部に小麦、大豆、ゼラチン、さば含む]


  • 向こう正面、手前側ともに何も記載はなく同じ柄となっている。


  • 重さは実測値で497g、横幅は13cm程と小さめのサイズで狭いテーブルでも十分に食べることが可能だ。手で持ちながら食べても特に苦痛ではない。斜め掛けされた赤いゴム紐がアクセントとなり、しゃれた印象だ。


  • 奥行は20cm、高さは4.5cm程度。350mlのビール缶と比較するとその大きさが想像しやすいと思う。


  • 外装箱オモテ面の絵柄は、箱に直接プリントされたものではなく、絵葉書となっており、取り外すことができる。ウラ面はハガキそのものだ。切手さえ貼れば旅の知らせを大切な人に送ることもできる。

     

    しかし、今やEメールやSNSなどに押され、手紙は過去のものになりつつある。旅先からリアルタイムで写真や動画を送ることができる時代になってしまった今、この絵葉書をいつ、どのようなシチュエーションで送るのかという疑問は残る。

  • 蓋をあけると上面に品書きが記載されている。まるで懐石料理のようだ。一応、記載しておこう。

     

    「えび千両ちらし」おしながき

     

    すし飯…新潟米の精進合わせ

    うなぎ…蒲焼きのたれ仕込み

    こはだ…薄切り〆、わさび醤油からめ

    蒸し海老…酢通し醤油からめ

    いか…塩いかの一夜干し

    厚焼きたまご…出汁入り

    海老…むき海老のおぼろ

    ガリ…甘酢漬け

     

    株式会社新発田三新軒

     

     

    「こはだ」と「蒸し海老」の“醤油からめ”が被っている点が気になる。もう一工夫、味の変化が欲しいところだ。


  • ソース類は付いておらず「おてふき」と「割り箸」が蓋に留められている。箸袋は紙製でつまようじ入りだ。割り箸の長さは16.5cmと少々短い。弁当縦方向の長さに合わせた結果だとは思うが、手の大きな人にとっては、少々使いづらいだろう。箸の根本部分が若干だが変な割れ方をした点が悔やまれる。

  • 「おてふき」の袋はきれいに破れない。切れ目などが入っておらず、破った破片がバラバラになってしまうことがある。今後の改良に期待したい。

それでは、お弁当をみていこう。


  • 紙の外装を取り外すとこのようになる。透明のプラ蓋には、ワサオーロシートがついており、全体の抗菌作用を担っているようだ。蓋を開けると玉子の甘い香りと酢の香りが漂う。

    このお弁当について、よく知らないまま手にした人は、このあまりにも平凡な見た目に後悔すら感じるのではないだろうか。しかし、そこは「えび千両」である。名前のとおり千両箱なのだ。では、その千両箱を細かくみていこう。

なぜ千両箱なのか?


  • 写真は「厚焼きたまご」をめくった状態である。そう、たまご焼きの下には豪華な具材が“これでもか”と言わんばかりに隠れているのである。「うなぎ」や「こはだ」「いか」は原材料も高騰しており、この価格で抑えるのもギリギリかもしれない。近い将来、本体価格の見直しが入るか、材料の変更が考えられても不思議ではない。

では、具材を一つずつみていこう。

  • まずは、玉子焼きの上に盛り付けられている「むき海老のおぼろ」である。きれいなピンク色をしており、見た目とアクセントの両方を担っている。おおよそ、全体で大匙一杯程度の極少量ではあるが、食欲をかきたててるには十分な役割である。

    口に含んでみると、非常に淡泊な味付けである。最初に僅かな塩味を感じた後、徐々に海老の甘みが舌の上にゆっくりと広がる。プリプリとした弾力感に思わず微笑んでしまう。

  • そして「厚焼きたまご」だ。一枚の大きさは10㎝×5㎝で厚さ5㎜程度だ。これが四枚入っている。口に含むと何ともしっとりしており、ソフトな触感でフワッとした仕上がりだ。そっと噛むとジュワっと出汁が染み出してくる。まず優しい甘さを感じ、そのあとで強めの塩味を感じる。続いて出汁、最後にもう一度甘さ、という順で味の波が押し寄せてくる。

    厚焼きたまごには、下にある具材の味移りがあり、部位によって異なる“たまご味”になるのが特徴的だ。こはだの上に乗っている厚焼きたまごは、生臭みを強く感じてしまうのが残念な点だ。

  • 続いて、海鮮をいただいていこう。「いか(塩いかの一夜干し)」は6㎝×2㎝程度のものが半分にカットされているものが2切れ入っている。干物であるため、水分が程よく抜け、身がしまっている。弾力が強いわりには、歯切れもよく「サクッ、シコッ」という音が口の中で音を奏でる。この歯ざわりは病みつきになる。

    味は全体的に抑えてあり、すぐに飲み込んでしまうと、この干物の良さに気がつかないであろう。じっくり咀嚼をすることで、噛めば噛むほど旨味や香りが口の中に広がる奥深さを感じとってもらいたい。見た目とは違う印象に気がつくはずだ。

  • 次は「こはだ(薄切り〆、わさび醤油からめ)」である。こはだは、7㎝×3㎝で厚さ5㎜程度のものが2切れ入っている。強めに〆ており、水分も十分に抜けているため、想像よりもしっかりした噛み心地になっている。ガツンとくる酢の風味のあとで、わさび醤油が追いかけてくる。「こはだ」ならではの香りの強さやコクも十分に活きている。「こはだ」もすぐに飲み込まずに咀嚼を続けて、染み出してくる成分を存分に味わってもらいたい。この「こはだ」は、酢よりも醤油の方がたっているので、こはだの握り寿司とはまた違う味わいなのがよい。

     

    こはだは好き嫌いがわかれる魚であろう。「青魚特有の香りこそが魚の醍醐味」という人もいれば「生臭みがとにかく苦手」という人もいる。そういった意味では、後者に該当する人は、この弁当をチョイスすべきではないだろう。

  • こはだの上に半分かかるように乗っている「ガリ(甘酢漬け)」だ。小さなものが3切れ程度と少量である。しかし、この生姜はかなり強めのピリッとした辛さがある。一般的な甘酢漬けとは違い、甘味や酢よりも圧倒的に辛さが冴えわたっている。しばらくの間は口の中が痛くなるほどの鮮烈な刺激で味覚音痴になってしまう。

    ここは、食べる順番に注意が必要であろう。こはだを食した後にガリをかじり、口の中をリセットし、辛さがひくまで少々箸を止めるのもありだろう。

  • 「蒸し海老(酢通し醤油からめ)」は、えびの握り寿司程度の大きさのものが2枚入っている。酢通し後に醤油で味付けされているとのことで、淡泊なえびにふくよかなアクセントを与えている。

    口に入れると最初に酢、そのあとから醤油、続いて出汁や海老の甘味がふわっと広がる。

    食べ合わせ等にもよるものかもしれないが、後味で極僅かにプールで使用するゴム製品のような残り香を感じた。「えび」が冠になっている弁当であるが故に少々残念ではある。

  • そして、王者「うなぎ(蒲焼きのたれ仕込み)」である。大きさ4㎝×5㎝で厚さが1㎝程度のものが2切れ。ズバリ「うなぎの蒲焼き」だ。このお弁当で一番豪華且つ醍醐味を味わえるところだ。“冷めたうなぎ”ということもあり、若干パサつきを感じるが、油も嫌味のない程度に落としており、程よい焼き加減に仕上がっている。

    タレは、ほんのり甘目で焼き目の香ばしさと相まってベストマッチだ。うなぎの皮が少々口に残るが、焼き立てではないので致し方なかろう。厚焼きたまごとの相性も極めて良い。

    このお弁当、うなぎ部分は最後に食べると弁当を食べ終わったあとで口に残る香りや味が満足感を与えてくれる。


  • 飯についても触れておこう。飯は255g程度と中~大のお茶碗一膳半程度あり、お腹を満たすには十分な量だ。飯の上には「とろろ昆布」が全面に敷かれており、磯の風味を高め、海鮮ちらし感を底上げしている。

    すし酢が多少強めに感じられるが、海鮮ちらし弁当であるが故に消費期限とのトレードオフかもしれない。

    飯にはゴマ粒大ほどの茶色いものが随所に見受けられるが、これは「干瓢(かんぴょう)の甘辛煮」を細かく刻んだものだ。何気ない酢飯にもきちんと仕事がなされているのが素晴らしい。米の産地は新潟。炊き加減はとてもよく、もち米のようにモチモチとした食感が何とも印象的である。

■総評


  • お宝具材が詰まった黄金色の千両箱。一つ一つの具材を吟味し、丁寧な仕事をしているところに好感が持てる。どちらかといえば「えび千両ちらし」というよりは「海鮮千両ちらし」であろう。

     

    この弁当の特徴的なことは、人によって多種多様な食べ方ができることである。例えば「酒のアテとして具材一つ一つを食べつつ、チビチビやる」「海鮮具材や飯を玉子で包み、巻き寿司のように食べる」「全体を混ぜ合わせて混ぜご飯風に食べる」など、自分だけの食べ方を見つけ出してもらいたい。その食べ方次第では、何者にも代えがたい弁当になるであろう。

     

    個性的且つインパクトがあるこの弁当は、駅弁を語る上では一度は食しておきたい。ただ、酢の香りや、青魚の生臭さが苦手な方は、この弁当をチョイスすべきではない。恐らく何が良いのかさっぱりわからないだろう。

     

    ■ズバリ!このお弁当は買いなのか?

    定価1,300円は、少々高額の部類になるが、過去に食べたことがない方であれば、一度は手に取ってみるのもありだろう。但し、メディア等の評判を真に受け、期待値が高まりすぎると、その落差は大きなものになってしまう可能性が高い。

     

    ■こんな人にオススメ

    ちらし寿司が好き、青魚や酢が得意、甘い玉子焼きが好き

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