いざ、北の大地へ!
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今回の舞台は、JR北海道の釧網本線、釧路駅~標茶(しべちゃ)駅間を運行している『SL 冬の湿原号』。
その名の通り、毎年1月下旬~2月下旬の厳寒期にのみ運転する季節列車です。SLファンの筆者としては、乗るのはもちろん、外からもその雄姿を撮影したい!
ということで、一日目は撮り鉄、二日目は乗り鉄というスケジュールを組みました。
まずは、羽田空港の展望台より、朝焼けの滑走路を撮影。
一日目は、羽田空港から釧路行き7時45分発の飛行機に搭乗。釧路空港へは9時15分に到着し、荷物受取・バス移動等の時間を挟み、釧路駅到着は10時30分になりました。
釧路駅到着!
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既に釧路駅には、SL・C11が到着しており、大勢の方が写真を撮っていました。
筆者は、タクシーを予約していたため、釧路駅前のタクシー乗り場から、SLより一足先に出発。まずは釧路駅にほど近い有名撮影スポット、釧路川鉄橋へ向かいました。
いざ、撮影スポットへ!
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さすが有名撮影スポットなだけあって、既に20名以上の方がカメラをセットしていました。
筆者も撮影準備を終え、あとはSLの到着を待つだけ。
ところが、釧路駅出発時間を5分過ぎた11時10分になっても出発時に発する汽笛の音は聞こえない…。
まさかのSL故障かと不安になっていたところ、11時14分にようやく汽笛が声聞こえて一安心。
ついにその時が…
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待っていました、この瞬間!
ここぞとばかりに連続でシャッターを切りまくります。
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この写真は、SLの接近でカモメが欄干から飛び立ったところを写したものです。海が近いことを感じさせる貴重な1枚となりました。
なお、有名撮影スポットの釧路川鉄橋ですが、カメラをセットした場所は、雪が15cm以上積もっていました。
冬の北海道を侮っていた筆者は、スニーカーのみの軽装。撮影中、近くの広場で待機してもらっていたタクシーの運転手さんが、見かねて長靴を貸してくれました。温かいご配慮に感謝!
無念…
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SL通過後は、そのまま釧網本線に沿って北上し、SLとしばし併走。その後、塘路(とうろ)駅~茅沼(かやぬま)駅間にある「二本松展望台」へ。
しかし、現地に到着すると、そこはかなりの森の中。しかも20cm以上の積雪という、想定以上に厳しい状況。
いざ進んではみたものの、途中の坂道を下って行く際、派手に転んで背中を強打。これ以上進むのは危険と判断し、来た道を引き返すことに…。
その戻り道、何とか撮影したのが、SLをはるか彼方に望む上の写真です。
再び無念…
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筆者はタクシーに戻り、終点に近い五十石(ごじっこく)駅付近からの撮影を決定。
写真のシラルトロコ沼(冬季は全面凍結)を横目に、急いで運転してもらったのですが、五十石駅に着いた時、列車は3分前に過ぎ去ってしまっていました…。
結局、満足な撮影ができたのは、釧路川鉄橋のみ。冬の北海道内の移動は、思った以上にハードです。
筆者がおすすめする撮影コースとしては、
1) 釧路川鉄橋→釧網本線併走→茅沼駅付近(車を利用)
2) 釧路川鉄橋→釧網本線併走→五十石駅付近(車を利用)
3) 釧路湿原駅付近(鉄道もしくは車を利用)
上記のいずれかでしょうか。
なお、釧路~標茶間のタクシー代は、15,000円ほどかかりました。この金額は次回の教訓にします(涙)
標茶駅到着!
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12時35分、SLは既に終着駅の標茶駅に到着していました。
標茶駅では、釧路駅への復路に備えての整備や客車の移動のため、SLが駅構内を何度も行き来します。そのため、プラットホームから色々な写真を撮ることができます。
バック運転!
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標茶駅にはターンテーブル(転車台)がありません。そのため、復路の標茶駅~釧路駅間はバックでの運転となります。
(C11は現役当時、駅構内の客車・貨車の入れ替え用としても活躍しており、バック運転もさほど珍しいものではありませんでした)
これぞ北海道の大自然!
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復路では、始発駅の標茶駅から乗車。
車内から動物の撮影にチャレンジしました。
「冬の湿原号」には、ネイチャーガイドさんが同乗しており、釧路湿原駅~茅沼駅間の往復路にて各客車を回りながら、窓の外に見える動物を教えてくれます。
茅沼駅近くでは、特別天然記念物であるタンチョウの姿が。
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釧路湿原駅近くでは、エゾシカの雄が大きな角を見せてくれました。
日没もまたいい
そして二日目!
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往路の始発駅、釧路駅からSLに乗ります。
SLの釧路駅入線は10時30分頃。その15分前に改札を通り、まずは駅に向かってくるSL編成を撮影するため、プラットホームの先端に向かいます。
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いよいよ、SLが入線!
全国各地のSLでは、バック運転もしくはDL(ディーゼル機関車)の牽引で入線するものが多いのですが、ここ釧路では、SLが客車を牽引して入線するため、駅からでも上のような走行写真を撮ることができます。
過酷な重労働である投炭作業
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投炭作業をSLの側窓より撮影。
旧国鉄の機関助士は、片手シャベルの場合、1杯1kgの石炭を7分20秒で200杯、火室内にまんべんなく投げ入れることが、登用試験の合格ラインだったとか。
SLがDLや気動車、電車に置き換わったのは、当然の流れだったのかもしれません…。
北の大地に乾杯!
ちょっと早めの昼食タイム!
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釧路駅限定販売の「いわしのほっかぶりずしサーモン詰合せ」1,150円(税込)をいただきます。記念の乗車証明書と共に撮影。
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中身はこんな感じ。
いわしといいサーモンといい、肉厚で美味しい!
これが車内名物「だるまストーブ」!
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だるまストーブの上は、誰でも自由に利用することができます。
それを前提に車内では「するめ」(1枚800円)の販売もおこなっています。もちろん、食材を持ち込んでも問題ありません。
筆者が乗車した車両では、誰かが「干しししゃも」を焼いており、車内はかなりの干物の薫りが漂っていました(笑)。
標茶駅到着!
出発を待つ SL・C11
吹雪の中のSL・C11
釧路駅到着!
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これにて、筆者が初めて北海道でSL撮影&乗車したレポートは終了です。
「冬の湿原号」は、乗り鉄目的であっても、意外と多くの走行写真が撮れます。
しかし、冬の北海道の寒さ・厳しさは想像以上。
撮影に行かれる際は、十二分に暖かい服装に滑りにくい長靴、そしてカイロを携帯し、万全の備えをした上で、楽しい鐵道旅を。
それでは、また次回に向けて、出発進行!! よい「鉄分」を。
撮影・文章 南谷信仁