【駅弁レビュー】「極撰炭火焼き牛たん弁当」

【駅弁レビュー】「極撰炭火焼き牛たん弁当」

ジューシーでホッカホカ! おなじみの仙台名物を駅弁に。

  • 名称:「極撰炭火焼き牛たん弁当」

    価格:1,350円(税込)

    販売駅:仙台駅 東京駅など

    入手場所:東京駅「駅弁屋 祭」

    販売元:株式会社こばやし

     

    項目

    内容

    ジャンル:

    肉系

    味の濃さ: 薄ーー◆ーー濃
    甘辛度: 甘ーー◆ーー辛
    全体量: 少◆ーーーー多
    飽きにくさ: 飽ー◆ーーー良
    コスパ: 悪◆ーーーー良
  • 仙台名物といえば「牛たん」が思い浮かぶだろう。その牛たんを扱った弁当はいろいろあるが、その中で最も人気があるのがこの弁当だ。

     

    その人気の秘密といえば、やはり“ホカホカの弁当”が食べられるということ他ならない。今では、発熱ユニットを用いて温められる弁当は珍しいものではなくなったが、それでも商品数は少ない。温かい駅弁が食べられるというのは、この上ない喜びである。

     

    外装箱は、炭火で網焼きしている牛たんの写真に炭火職人のイラストが描かれているのだが、箸袋や留め紐、発熱ユニットの紐を止めるテープなどが邪魔しており、そのデザインや名称までも隠してしまっている。少々もったいない印象だ。外箱は、箱型の形状で弁当自体はプラ容器製となっている。

では、さっそく外観からみていこう。

  • パッケージ左側面には、弁当の特徴が記されている。こんな感じだ。

     

    ——————————————-

    旨味にこだわり、焼きにこだわり

     

    特製塩ダレで熟成させ、牛たんの旨味をより一層引き出しました。

    厚めにカットし一枚一枚、炭火で焼き上げた極撰炭火焼き牛たん弁当、

    宮城県産ひとめぼれを使用した麦めしと共に、仙台名物をご堪能ください。

    ——————————————-

  • 右側面には、原材料名や栄養成分表が記載されている。細かいことだが、この栄養成分表を掲載している弁当は意外に少ない。カロリーや糖質制限などをしている方にとって、大切な情報である。多くの弁当が記載してほしいものである。原材料と栄養成分については下記に記載しておく。
     

    ~原材料名~

    麦飯(うるち米(宮城県産ひとめぼれ使用)、麦)、牛たん焼、万来漬(胡瓜、大根、人参、その他)、花人参煮、七味唐辛子、調味料(アミノ酸等)、酸味料、乳化剤、保存料(ポリリジン、安息香酸Na)、増粘剤(キタンサンガム)、紅花色素、甘味料(甘草)、ph調整剤、シリコーン、トレハロース、香料、(原材料の一部に乳、小麦、牛肉、ゴマ、大豆を含む)

     

    ~栄養成分~

    熱量:661kcal、たんぱく質:21.5g、脂質:24.1g、炭水化物:83.5g、ナトリウム:1172mg


  • 外装の向こう正面は弁当名、手前側は温め方についての記載がされている。


  • 重さは実測値で530g、縦・横幅は17cm、高さは7.5cm程である。正方形なので取り扱いには苦労しないが、紐や箸の影響で何段か平積みするとバランスが悪そうだ。


  • いつもの350ml缶との大きさ比較だ。手頃感が伝わるだろう。

  • 紐や外装を外した写真と付属品類の写真である。弁当のプラ蓋の上には七味唐辛子が乗っている。

    残念なことにこの弁当にはおしぼりがついていない。今後は付属を検討してほしい。


  • 箸袋は、紙製でつまようじ付きだ。割り箸の長さは18cmと長くはないが、使用するにあたっての不自由はない。箸の根本部分が変な割れ方をしてしまった。誰が割ってもきれいに割れる箸が理想的である。この点、今後の改良に期待したい。

次に発熱部分についてみていこう。


  • 弁当の下には、発熱ユニットが組み込まれており、ご覧のとおりになっている。ユニットの重さは、実測値で208gと全体重量の4割程度を占めている。ちなみにこの発熱ユニットは、30分程度温かさが持続するようだ。

     

    発熱ユニットの下には段ボールが敷かれ、下部に熱が伝わりにくくなっている。しかし、箱の注意書きには、膝やガラス、ビニールクロスの上において紐を引かないように記載されている。

    また、テーブル上で温める際も下に新聞紙などを敷くように促されている。実際のところ、テーブル上であれば、下に敷くものは不要だと思われる。


  • 飯部分の二重容器を取り外すと、相当な上げ底であることがわかるだろう。飯部分は直径13cmで高さは2.5cm程度しかないのだ。恐らく、誰もが「弁当部分はこれしかないの?」と落胆するのは間違いない。

     

    ちなみにこの弁当を購入した際は、発熱ユニットの注意事項を記載した紙も同封されるので、こちらもあわせて目を通しておこう。

さっそく温めてみよう。

  • 外装の手前側にある黄色い紐を一気に引き抜く。

    すると、その瞬間に「シュワー、ボコボコ…」とお湯が沸騰するような音と共に湯気が立ち上ってくる。まるで理科の実験をしているかのようだ。そして5~6分程度待つとホカホカ弁当の出来上がりである。

では、弁当を見ていこう!


  • 外装蓋を取り外す際、全体が温かくなっており、プラ蓋には水滴がついている。温まったことがわかるうれしい瞬間だ。

    弁当表面は白い紙で覆われており、その上に七味唐辛子が乗っている。七味唐辛子を取り除き、紙を外すと弁当とのご対面だ。

    その瞬間、炭火ならではの香ばしさが周囲に漂う。温かい弁当は、香りの広がり方がまるで違う。その香りは、アウトドアの際、炭火の上に網を乗せて肉を焼いたときのあの香りと同じだ。

  • 中身は極めてシンプルである。「麦めし」の上に「牛たん」、牛たんの上に「花人参煮」があしらわれ、フィルムケースに盛られた「お新香」があるのみだ。

    「四の五の言わずに牛たんを喰え!」とでも言わんばかりの絵づらである。

では、細部をみていこう。


  • まずは主役の「牛たん」だ。6cm x 3cm 厚さ2mm程度のものが7切れあり、総量は40g程だ。炭火の香しさがとてもよい。

    口に含むとサクッ、サクッという歯切れ良い音がしてジューシーなエキスが広がる。決してアツアツではなく、ほんのり温かいという状態だ。それにしても「牛たん」の噛み応えは、いつ何時でも気持ちよいものである。淡泊な「牛たん」ではあるが、特製の塩だれに漬け込んでいるという触れ込みどおり、肉に塩味がしっかりと染みこんでおり、胡椒のスパイシーさが際立つ、はっきりした深みのある味だ。

     

    7切れの「牛たん」は、スッと噛み切れるものとそうでないものがあり、多少、質のバラつきが見受けられる。

     

    味に変化を加えたい場合は「七味唐辛子」を散らすとよいだろう。「牛たん」にすがすがしさと、あでやかさが加わる。自宅で食べる際はレモンを少量絞ると、これまたいい具合である。但し、最初は何もかけずに「牛たん」本来の味を楽しむことをおススメしたい。

     

     

    食べ終えた後、唇の周囲には、意外なほどの油の膜が出来上がっていることにビックリする。

  • 牛たんの上を彩る「花人参煮」。

    にんじんが花びら状に切られて煮てあるようだ。香りは「牛たん」のエキスに隠されてしまって「牛たん」同様になってしまっている。

     

    口に入れると、ゴリゴリとしており、生に近い炊き加減で“煮ている”という印象はほとんどない。

    咀嚼を続けると人参本来の自然な甘さがじわっと出てくる。「花人参煮」は色どりを添える程度のものと考えてよいだろう。

  • 続いて「麦めし」だ。実測値で191g。コンビニのおにぎり2個弱といったところだ。米は宮城県産のひとめぼれを使用している。

    暖かい飯を頬張ると、ねっちりとした食感と共に弾力のある麦が口の中で跳ねまわる。まさに「麦めし」ならではの食感である。飯は若干硬めに炊き上がっており、多少ボソボソ感がある。

     

    保温ユニットに近い底面は、まるで炊き立てのように温かい。表面部になると、ほんのり温かいというレベルだ。

    「麦飯」の表面部は、牛たんの油と塩ダレエキスが染みこんでおり、まるでバターライスのような芳醇な風味である。これがすこぶるよい。

  • 「万来漬」は、フィルムケースに収められ、大根1切れ、人参の細切り少々、大多数は、きゅうりという構成である。味自体は、よくあるこの手の漬物と同様である。

    「牛たん」と「麦めし」をかきこんだあと、「万来漬」少量を口に入れると、ポリポリという音と共に広がる醤油や出汁の慣れ親しんだ味が「牛たん」や「麦めし」にマッチして、食べるペースが一段と上がるのだ。

     

    一つ言えることは、お新香は冷たいほうがうまい。先に「万来漬」を抜き取ってから、再度フタをして加熱するとよい美味しくいただけるだろう。

■総評


  • シンプルな味わいの「牛たん」と「麦めし」。量も少なく、おかずもないため、ものの数分で食べきってしまうだろう。その僅かな時間、ひたすら牛たんと向き合うことになる。

    炭火焼きの醍醐味である香りや「牛たん」独特の歯ざわり・舌ざわりは十分にあり、本場の牛たん屋とまではいかないが、近い雰囲気は出ている。

     

    1,350円も出せば、豪華な具材や量が多い弁当はいくらでもあるため、そちらを購入した方が圧倒的な満足感が残るはずだ。そういった状況の中で、この弁当を手に取るということは「温かさ」や「牛たん」への思いがあってのことだろう。もちろん、温かくてうまい駅弁が食べたいという欲求は十分に満たしてくれる。

     

    しかしながら、お腹をすかせている人が、この弁当を食べても恐らくお腹は満たされないだろう。そのため、別途おにぎり等を購入することになりかねない。そうであれば、初めから1,600円程度の更にグレードの高い弁当を購入するという選択肢があるのだ。温かさを選ぶか、豪華さを選ぶか、それはあなた次第だ。

     

    ■ズバリ!このお弁当は買いなのか?

    温かさや味は魅力的だが、コスパに欠ける。人気の弁当を一度食べてみたい人や1,000円程度でごちゃごちゃ言わないリッチな人なら大いにアリ。

     

    ■こんな人におススメ

    温かい駅弁が食べたい人、少量を美味しく食べたい人、肉好きな人

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