【駅弁レビュー】「氏家かきめし」

【駅弁レビュー】「氏家かきめし」

厚岸の名物がゴロゴロ! 誰もが納得する名物弁当!

  • 名称:「氏家かきめし」

    価格:1,080円(税込)

    販売駅:厚岸駅 東京駅 新宿駅など

    入手場所:新宿駅「駅弁屋 頂」

    販売元:有限会社 氏家待合所OS

     

    項目

    内容

    ジャンル:

    魚介系

    味の濃さ: 薄ーーー◆ー濃
    甘辛度: 甘◆ーーーー辛
    全体量: 少ーー◆ーー多
    飽きにくさ: 飽ーー◆ーー良
    コスパ: 悪ーーー◆ー良
  • 厚岸の名物といえば、「カキ」を思い浮かべる人は多いだろう。厚岸町のウェブサイトをみると、北海道内でも有数の水揚げ量とある。その厚岸の水揚げ(平成19年)だが、4位はアサリ、5位はカキ、6位はツブとなっており、それらを贅沢に使っているのが、この弁当である。

     

    緑色の掛け紙に「かきめし」という文字が印象的だ。正直なところあまり食欲をそそられるデザインではないし、色のセンスも微妙ではある。おそらく、この弁当を知らない人であれば手に取りにくいデザインといえるだろう。しかし、この弁当を一度でも食べたことがある人であれば、この緑色の掛け紙を探してしまうだけの魅力を持っているのである。

     

    外装箱は、プラ容器製でその上に掛け紙が輪ゴムで止められている。

実はいろいろなバージョンがあるという噂が…

  • 「氏家かきめし」は、全国にファンが多く「駅弁大会で売っているのを見つけたら迷わず購入」という人も多い。

    厚岸駅前の実店舗は、1917年に根室本線厚岸駅前に開業したとのことで、創業は100年を超える老舗だ。

    「氏家かきめし」は、その三代目の氏家氏が考案し、今に至っているそう。

    実店舗では、大量生産できないため、委託工場による生産をしているという噂がある。これが事実かは不明のため、言及することは避ける。

     

    今回、レビューを記載するにあたり、筆者が手にしたものは「有限会社 氏家待合所OS」が製造したものであることを付け加えておく。

では、さっそく外観からみていこう。


  • パッケージ左側面は、掛け紙の模様のみだ。右側面には、原材料名が記載されている。

    原材料は少々、添加物が多すぎる印象だ。気になる人はいるだろう。おそらく「福神漬」と「沢庵」に使われているものだと思われる。

     

    ~原材料名~

    ひじき入り炊込みご飯(国産米使用)、かき煮、沢庵、あさり煮、つぶ貝煮、椎茸煮、ふき煮、福神漬、刻み海苔、ph調整剤、調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル、赤102、赤106、黄4、黄5、クチナシ)、グリシン、トレハロース、甘味料(スクラロース、ステビア、天草)、酒精、酸味料、酸化防止剤(V.C)、香料、保存料(ソルビン酸K)、増粘多糖類、乳酸Ca、(原材料の一部に小麦、大豆、ごまを含む)


  • 向こう正面および手前側はプラ容器むき出しである。

では、大きさをみていこう。

  • 重さは実測値で348gだ。


  • 350ml缶との大きさ比較である。弁当の縦幅は20cm、横幅は12.3cm、高さは3.8cmほどだ。割と小ぶりなので列車の小さなテーブルでも問題なく食べることができるだろう。

  • 外装写真と付属品類の写真である。掛け紙を外すと、箸が輪ゴムで止められている。

  • 箸袋は紙製だ。割り箸の長さは16.5cmと少々短く使いづらい。ちなみにこの弁当には、おしぼりがついていない。

では、弁当の中身を見ていこう!


  • 蓋を開けると醤油と磯の香りが漂う。のり弁などに共通する香りで食欲をそそる。とても良い香りだ。

     

    中央にドーンと構える「カキ」は、時間をかけて煮ているようだが、それでもこれだけの大きさを保っている。元は、たいそう立派な「カキ」であることが推測できる。

    ご飯には、刻み海苔がパラパラとふりかけられ、「カキ」を中心に4方向に「つぶ貝」「あさり」「ふき」「しいたけ」が申し訳ない程度に盛り付けられている。そして、折詰の隅にバランで仕切られた「沢庵」。そして、フィルムケースに収められた「福神漬」という構成だ。弁当全体が茶色で構成されているため、バランを含めた「信号色」が何とも鮮やかだ。


  • じっくり煮こまれた貝類が食欲を刺激する。アクセントとなる漬物の色が素晴らしい!

では、細部をみていこう。


  • まずは、主役の「カキ」である。大きさに多少のバラつきはあるが、長い面が4.5cm、対する横面が2.3cm、厚さは1.3cm程度のものが4つ入っている。香りは見た目どおり、醤油と磯の香りだ。

    ぷっくりした「カキ」の内臓側をそっと噛むと、身がホロっと崩れ、少々粉っぽい「カキ」独特の触感が楽しめる。そして、甘辛醤油で煮込まれた濃いめエキスと共に、カキの持つ甘さや苦みが口の中に一気に広がる。味付けは、甘さよりも醤油の方が立っている。

    一方、ひだの部分は、プニュッとした歯ざわりが感じられ、噛むほどに濃厚な味わいである。

     

    飯については、後述するが甘めの仕上がりだ。この飯と「カキ」を一緒に食べた時の相乗効果が素晴らしい。咀嚼を繰り返す中でカキが舌に触れた瞬間のしょっぱさと、飯が舌に触れた瞬間の甘さが交互に入れ替わり、口の中でベストマッチな味に仕上がる。このコンビネーションは秀逸だ。

  • 続いて「つぶ貝」である。2cm、1.5cm、厚さ4mm程度のものが3切れと、かなり小さめだ。こちらも甘辛醤油の香りだ。

    コリコリとした弾力こそが「つぶ貝」の魅力であり、その歯ざわりは十分楽しめる。ただ、量が上品すぎるため、「つぶ貝」本来の持つ旨味を楽しめないのが残念だ。

  • 「あさり」である。2cmぐらいの身が3つ。甘じょっぱい香りだ。

    濃厚で十分な旨味を持つ「あさり」。口に入れると磯の香りが強く、ジュワっとエキスが染み出てくる。最初は、あまり味を感じないが、咀嚼を続けると、どんどん味が出てくる。これぞ「あさり」の魔力である。

  • 「しいたけ」は、幅5cm、厚さ3mmぐらいの薄切りが3~4個程度盛り付けられている。じっくり煮込まれているため、甘辛醤油の香りのみである。
    口に入れた瞬間、ふっくらした弾力を感じ、その後に「これでもか!」というほど、甘い出汁がこぼれ出てくる。その後で徐々にしいたけ本来の味に変わっていくのだ。この味の変化が見事である。

  • 続いて「フキ」だ。4cmほどの長さで直径は5mm程度。よく煮てあり、口に入れた瞬間にぐずぐずに崩れて溶けていく。繊維も全く残らず、丁寧な下処理と長い時間炊いていることがよくわかる。とはいえ、「フキ」の持つ苦みやえぐみは残してあり、さわやかな春の香りが鼻から抜けるのがとてもよい。

  • そして「ひじき入り味付け飯」である。実測値で270gほどだ。中~大の飯茶碗で1膳半より少し多い程度の量である。

     

    この「飯」の香りが素晴らしい。例えると旅館に宿泊していて、食事時間近くになると厨房近くから漂ってくる和風だしのような何とも言えない心地よい香りなのである。「飯」に混ぜこまれている「ひじき」の効果もあってのことだろう。色はごらんのとおり茶色で、とても光沢感があり食欲をかきたてる。

     

    口に入れるとねっとりした歯ざわりだ。とはいえ、飯の炊き加減は絶妙で、柔らかすぎないのがとてもよい。また、その色から想像するほど濃い味付けではなく、とてもやさしい甘さに炊いてある。

    「飯」を炊いている調味液は「カキ」「つぶ貝」「しいたけ」「ふき」を煮た煮汁を熟練の技で調合しているそうだ。それにより、何とも言えぬ奥行き感が出ているのであろう。飯だけでも十分に食せる味に仕上がっている。

  • 続いて「沢庵」である。直径5cm程度のたくあんを半分にカット。厚さは4mm程度。甘さは控えめで塩が立っている。特筆すべき点はないが箸休めには最高だ。カリカリポリポリとした触感がよい。

  • 最後に「福神漬」である。「沢庵」同様にカリカリポリポリしながら、甘めの弁当に対する塩辛さが箸休めになる。最初は甘さを感じるが、そのあとにとても塩辛くなる。少々、塩分が強い印象だ。もう少し塩分を抑えたほうが、この弁当には合うだろう。

■総評


  • パッケージや中身も地味であり、決して食欲はそそられないが、食べれば、そのギャップに驚くこと間違いない。さすが、ロングセラー弁当であり、固定ファンが多いのもよくわかる。

     

    見た目と違った、やさしい味と何ともいえない香りが素晴らしく、貝類が苦手な人でなければ、誰もがおいしく食べられるだろう。

     

    「有限会社 氏家待合所OS」版でも十分だが、やはり、この弁当に惚れ込んだ人であれば「いつか実店舗で食べてみたい」という欲求が生まれるのは必然であろう。

    しかし、現実的には、道外の人が厚岸に行って食べるというのは、かなりハードルが高いはずだ。そういった意味では、現地に近い味わいを手軽に楽しめると考えれば、とてもお得な弁当といえるだろう。

     

     

    ■ズバリ!このお弁当は買いなのか?

    甘めの弁当や貝類が苦手な人でなければ買うべし。

     

    ■こんな人におススメ

    甘めの弁当が好きな人、弁当で外したくない人

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