外見だけでなく音にも注目したい古豪、能勢電鉄1700系(元阪急2000系)

外見だけでなく音にも注目したい古豪、能勢電鉄1700系(元阪急2000系)
  • 今回は兵庫県川西市、川辺郡猪名川町、大阪府豊能郡豊能町にまたがる能勢電鉄をレポートします。能勢電鉄の車両は阪急からの譲渡車がほとんど。事実、阪急・阪神グループのひとつでもあります。この記事では、阪急では見られない古豪、1700系(元阪急2000系)を取り上げます。

    能勢電鉄は兵庫県川西市にある川西能勢口駅を起点にしています。川西能勢口駅では阪急宝塚線とドアツードアで接続。まるで、阪急の一支線のように感じるでしょう。

  • 能勢電鉄の路線はこのようにY字になっており、途中の山下駅で日生線が分岐しています。基本的に川西能勢口駅からは妙見口行きと日生中央行きが交互に発車。平日の朝・夕ラッシュ時には阪急梅田まで乗り入れる「特急日生エクスプレス」が運行されます(朝は日生中央→阪急梅田、夕は阪急梅田→日生中央)。

  • こちらが、今回の主役である1700系です。1700系の種車は元阪急2000系です。阪急2000系は1960年に登場し、現在の阪急電車の礎をつくりました。自動制御装置などの最新技術を取り入れ、第1回ローレル賞を受賞。現在でも評価の高い電車です。

  • 1990年から能勢電鉄で運行を開始。ワンマン化工事などを経て、現在でも活躍しています。ただし、7200系の登場により、置き換えが進むことが予想されます。整備がいいので、側面部もピカピカです。このように昔の車両が美しい姿で働いていると、うれしくなりますね。

  • 側面の方向幕も注目しましょう。この何とも言えないレトロな字体が1700系にマッチしているような気がします。

  • こちらは山下駅と日生中央駅を結ぶ区間運用の方向幕。このようなレイアウトはなかなか珍しいのではないでしょうか。

  • 次に車内をチェックしていきます。木目調の化粧板にゴールデンオリーブの座席という阪急電車おなじみの車内です。整備の良さから、とても50年以上の車両とは思えません。

  • とは言っても「昔の阪急電車」を思い起こさせるところもあります。こちらは貫通路ですが、向こう側の車両には扉がありますが、手前には扉は設置されていません。阪急2000系時代は扉がなく、幅広の貫通路でした。改造により、貫通路は少し狭くなっています。

  • 運転台も見ていきましょう。昔ながらのツーハンドルですが、窓際にワンマン化に対応した機器が設置されています。能勢電鉄は一部を除き、ワンマンで運転されています。したがって、運転手は自分で扉を開け閉めしなくてはなりません。

  • 私が乗車したのは1756編成です。ちなみに、左右の金具は日章旗を入れるためのもの。ただ、阪急電鉄で日章旗があるところを見たことはありませんが。

  • 1756号は昭和37年(1962年)製造です。かれこれ50年以上も走り続けているのですね。関東だと京王5000系(初代)や東急7000系(初代)と年が近いわけです。

  • 阪急で消えつつある鎧戸式の日よけも健在。確かに持ち上げるのは不便ですが、阪急ファンとしては、このまま残ってほしいですね

  • 1700系に乗車したら「目」だけでなく「耳」にも注目してください。1700系はドアの開閉時に「グキュ」という独特の音を発します。この音ばかりはなかなか文字に起こせないので、実際に聞きに行ってください。

  • さて、1700系の大きな特徴はコンプレッサーの起動音です。1700系のコンプレッサーは「D-3-NHA」という旧型のものです。ときどき床下から「キューボコボコボコ」という大きな音が聞こえてきます。昔の阪急では当たり前のように聞かれた音ですが、阪急では聞くことはできません。

  • このように1700系は一見地味ですが、強烈な個性を持った車両です。消滅する前に、ぜひ乗りに来てください。大阪梅田から1時間以内でアクセスできます。

  • 最後に「おまけ」。能勢電鉄の塗装は基本的に阪急と同じマルーン色ですが、たまに異なる塗装も見かけます。こちらのタヌキのような色は1980年代の能勢電鉄の塗装を再現したもの。これもこれで似合っていると思います。なお、こちらの車両は5100系(元阪急5100系)です。

    というわけで、よい「鉄分」を!

    ライター:新田浩之

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