これぞ誰もが認める駅弁日本一!「やっぱり凄い」とただただ脱帽
-
名称:「シウマイ弁当」
価格:830円(税込)
販売駅:横浜駅、神奈川・東京の主要駅やデパート など
入手場所:神奈川某所
販売元:株式会社 崎陽軒
項目 内容
ジャンル: 幕の内系 味の濃さ: 薄ーーー◆ー濃 甘辛度: 甘ーーー◆ー辛 全体量: 少ーーー◆ー多 飽きにくさ: 飽ーーーー◆良 コスパ: 悪ーーーー◆良 -
♪おいしいシウマイ崎陽軒♪ そんな懐かしいCMを知っているのは、30代後半以降ぐらいであろうか。
東京・神奈川に住んでいる(住んでいた)人であれば、今さら説明するまでもない超有名弁当である。実質的な駅弁の製造・販売数は恐らく日本一だろう。
そもそも、この弁当は横浜駅の駅弁でありながらも、東京・神奈川近郊のデパートやあらゆる駅で販売しているため、横浜駅の駅弁というよりは、日常の弁当なのである。そして、時折り無性に食べたくなってしまうという不思議な魅力をもっているのだ。
それにしても、掛け紙の龍と横浜の象徴となる建物を写した水晶玉のデザインが印象的だ。横浜三塔(キング、クィーン、ジャック)もしっかり入っている。
「シウマイ弁当」は2タイプが存在する!?
-
さて、この2枚の写真であるが何が違うのであろうか? そして、その具体的な違いとは? そんな質問を投げかければ、コアなファンであれば、誰でも一発で正解する単純な問題である。
正解は、掛け紙・掛け紐のものが本社工場製(神奈川県横浜市西区高島)もしくは、横浜工場製(神奈川県横浜市都筑区川向町)で、紙蓋のものが東京工場製(東京都江東区大島)である。いずれも製法は変わらないと思うが、味が違うという人もいる。
パッケージをよく見ると、掛け紙の場合、蒸気でふやけてシワシワになっており、水分が抜けているのだと思うが、紙蓋の場合、蒸気が逃げにくくなるため、それが味の違いになっているのではないかと推測される。
-
この掛け紙バージョンが本社工場製・横浜工場製。
-
ボール紙製の覆い蓋が東京工場製である。
-
中を見比べてみよう。上もしくは左の写真が本社工場製、下もしくは右の写真が東京工場製である。おかずのつまり具合や、飯の8等分線、黒胡麻のまとまり具合、小梅の位置などで本社工場製の方が美味しそうに見えるが、ロットや製造スタッフのバラつきによる可能性があるので、何とも言えない。
ただ、今回入手したものに関していえば、明らかに本社工場製の方が見た目がきれいだったのは間違いない。
当記事では本社工場製についてのレビューとなる。
では、外観からチェックしていこう
-
パッケージ左側面は、消費期限やバーコード記載である。ちなみにこのシウマイ弁当は、とても消費期限が短い。午前中に買って「夜中に食べよう」というのは通用しない。おおよそ8時間程度の消費期限になっているようだ。添加物少なめという証でもあろう。
-
右側面には、原材料名が記載されている。ちなみに崎陽軒のウェブサイトによるとカロリーは732kcalだそうだ。意外にヘルシーである。
~原材料名~
ご飯、シウマイ、筍煮、鮪の照り焼き、鶏唐揚げ、蒲鉾、玉子焼き、あんず、付合せ、醤油、辛子、調味料(アミノ酸等)、着色料(カラメル、コチニール、野菜色素)、ソルビトール、漂白剤(二酸化イオウ)、酸味料
(原材料の一部に卵、乳成分、小麦を含む)
-
向こう正面は掛け紐の結び目がある。
-
手前側は見ての通りだ。
では、大きさをみていこう。
-
350ml缶との大きさ比較である。実測値で縦幅は20cm、横幅は14.8cm、高さ3.5cmであった。列車の小さなテーブルでも問題なく食べることができるサイズだ。
-
外装写真と付属品類の写真である。シウマイ弁当は蓋と底面に経木(きょうぎ)という木を薄く削ったものを使用している。この経木の厚さはおよそ0.8mmほどだ。蓋に至っては、経木の上に掛け紙が被せてあるだけなので、製造時の蒸気が抜け、掛け紙はシワシワで見た目が悪い。掛け紐の長さは、ちょうど100cmだった。
-
さすがは崎陽軒! 食べる人の気持ちを考えており、おてふきは当然付属している。おてふきと箸を入れているビニール袋はポケット構造になっており、おてふきのみ、外のポケット部分に入っているという非常に凝った作りだ。これには感動する。
-
箸袋は紙製である。爪楊枝も付属しているが、箸袋にインされているのではなく、別添えになっている。「さすが!」と思わず関心する。箸の長さは18cmで気持ち短めだ。おてふきは十分なサイズ感だ。
ただ、一つ残念なのは、箸の品質が最悪である。変な割れ方をするし、おまけに食べている最中に手にトゲが刺さった。ここまで粗悪な箸も珍しい。昔よくやったように最初に箸と箸をこすり合わせてささくれを取らないといけないダメ箸なのである。他の品質が高いだけに何とも残念だ。
では、弁当の中身をみていこう。
-
具材は、その名のとおり「シウマイ」が主役であるが、脇を固めるその他大勢が素晴らしい!
まずは、8等分の俵型に仕切られ黒胡麻が散らされた「飯」、中央に「小梅」。おかずエリアには「鶏唐揚げ」「玉子焼き」「かまぼこ」「あんず」。バランの向こうに「鮪の照り焼き」「筍煮」。一番手前の仕切りの内側には「切り昆布」「千切り生姜」という老若男女の誰もが満足する幕の内スタイルだ。
-
色とりどりで具材たっぷりのおかず類。飯だけでも美味そうだ! ここまでパーフェクトな弁当にはなかなか出会えない。
では、それぞれについてみていこう。
-
やはりメインの「シウマイ」から紹介しよう。一つのサイズは、高さ2.5cm、直径3cm程度で重さ15gほどだ。それが5個入っている。香りはごくわずかに甘く、グリンピースを茹でた際にする豆類の香り、貝類のエキスの香り、小麦粉の皮類に共通する香りである。
口に入れるともっちりと強めの弾力があり、やや固めの歯ごたえだ。とても肉々しく感じる。最初は小麦粉の皮の味が極薄く感じられ、噛みしめていくと徐々に中華出汁の濃い味が全体に広がる。肉感は強く残してあり、ゴリゴリとする筋や脂肪の部分も存在し、咀嚼する中でさまざまな食感を楽しむことができる。
写真のとおり、肉がギュッと押し固められており、まるで整形肉のようである。そのままでも十分だが、これに辛子と醤油をかけるとベストマッチな味になる。冷めても美味しいのが崎陽軒のシウマイの特徴だ。豚肉の臭みがないのもよい。
-
続いて、「飯」である。実測値218gほどでコンビニにおにぎり2個分といったところだ。この「飯」に経木の香りが移っているのが素晴らしい。中には「この香りが苦手」という人がいるかもしれないが、筆者はとにかく好きである。
この経木がこの弁当を特別な「飯」に仕上げてくれるのだ。経木は、飯やおかずの余分な水分や湿気を吸収するため、とても良い状態をキープできる。炊飯器がなかった時代のおひつ効果そのものである。水分が多ければ除湿し、足りなければ放出するという天然素材さまさまだ。
8等分された俵型のビジュアルがとても印象的で「黒胡麻」のアクセントも良い。
この「飯」だが、等分された部分でご飯を取り分けようとしても、固すぎてうまく取り分けることができない。さらに弁当の底に飯がくっついてしまい、取るのに苦労する。
口に含むと、まるで「もち米」を食べているかのような錯覚を起こすのだが、正真正銘の「うるち米」だそうだ。蒸気で蒸し上げる独自の製法により、このモチモチ食感を生み出しているらしく、飯の量は普通だが、咀嚼数が多くなるため、結果としてお腹が膨れるのである。
冷たい飯なのに飯の表面がつややかでピカピカと輝いているのが見事だ。「黒胡麻」の多い部分を食べると口の中でゴマの風味がパッと広がり、飯だけでも美味しく食べることができる。これはさすがと言わざるを得ない。
-
そして「鶏唐揚げ」だ。長い面で4.8cm、短い面で3.6cm、20gほどのものが1つ。
きつね色に揚がっており、見るだけでうまそうだ。香りは、冷めた唐揚げに共通するあの香りだ。
この「鶏唐揚げ」は、肉にしっかり味つけされており、衣自体は薄味の仕上がりである。もも肉もパサつきがなくジューシーさが残っている。味はさほど濃くないため、もっと量を食べたくなる味付けになっている。カラッと揚がっているため、冷めていても衣のギトギト感は皆無だ。
-
「玉子焼き」である。長い面が5cm、短い面は2.5cm、厚さ1cmで重さは14gほどだ。見た目もつややかでしっとりしており、甘い練り物のような香りだ。その柔らかさは、まるで唇のようである。そっと噛むとほろっとくずれ、ジュワっと出汁が出てくる。甘さは、くどくなく上品で塩加減も絶妙でとても良いバランスだ。
-
次は「かまぼこ」だ。長い面が6cm、短い面は3.5cm、厚さ8mmで重さ16gほどだ。甘い練り物独特の香りがする。口に入れると、弾力を感じつつ、グォリという音とともに裂けていく。咀嚼を続けるとほんのわずかにわさびのような香りが広がり、かまぼこ特有の甘さを感じる。塩味は薄めで良い仕上りだ。醤油をかけると、これがまたいい具合になる。
-
「鮪の照り焼き」である。縦4.5cm、横4cm、厚さ1.2cmで重さは23gほどだ。醤油と出汁の香りがする。十分に水分が抜けているため、まぐろとは思えぬほど、ずっしりした重さがあり、まるで豚肉のような見た目である。
口に含むとさくっと裂け、その瞬間に非常に濃い醤油味が広がる。やがて、キューブ状のツナのお菓子のようなまぐろの濃い味がしてくる。その後、徐々に繊維状の魚肉は口の中からなくなってしまう。まさに海の肉だ。
-
次は「筍煮」だ。1cm角のキューブ状に切りそろえられており、総量で28gほどだ。
香りは、旅館の和室のようである。口にいれるとゴリゴリという音と共に繊維状にさけていく。その瞬間にかなり濃く甘じょっぱい煮汁が染み出てきて、口の中いっぱいに味と香りが広がる。最後にはスイートポテトを食べたような風味が残るのがよい。
-
続いて「小梅」だ。1.5cm大の青梅である。カリカリと音を立てて種から身離れし、青梅ならではの苦さやえぐみ、しょっぱさが飯やおかずにマッチする。
-
「あんず」である。長い面が3.8cm、短い面が2.9cm、厚さは1.2cmで重さは8gほどだ。ごくわずかに甘酸っぱくもあるが、経木の香りなどもしみこんでしまっており複雑な香りになっている。ゴリッという音と共に顔をしかめるフレッシュな酸味を感じ、すぐ後で木の実独特の芳醇な香りと甘さが口に広がる。果実ならではの爽快感がとても良い。
-
「切り昆布」だ。長さは3cm、横幅は3.7mm、厚さは1.4mmほどに切りそろえられている。醤油と磯の香りがする。しょっぱい中に昆布のえぐみが残っており、少し噛むだけで口の中で溶けてなくなってしまう。塩加減がよい箸休めになる。
-
「千切り紅生姜」だ。昆布同様に2~3cmの細切りになっている。甘酸っぱい香りだ。このショウガはとてもしょっぱく、そして辛い。食べると舌がヒリヒリするぐらいだ。しかし、このしょっぱさと辛さが箸休めになり、舌をリセットしてくれるのである。
ソース類はこの2つ
食べ終わると…
-
こんな感じで弁当底面に飯粒がたくさんくっついてしまうことがある。この現象はその時々によって違うのだ。全くくっつかないほど飯離れが良いときもあれば、少量くっつくときなどいろいろあるのが不思議だ。
今回は異様なほどくっついており、中には剥がせない頑固な飯もあった。蓋や底面の飯粒を箸で一つずつ取って食すのも「シウマイ弁当」にかかせない大切なイベントなのである。
■総評
-
幕ノ内弁当なので「あまい」「しょっぱい」が交互にやってくるため、全く飽きることなく最後まで一気に食べ進めることができる優秀な弁当である。「千切り生姜」や「切り昆布」のような脇役とご飯だけでも十分に食せるのがこの弁当の特徴だろう。すべてがパーフェクトな仕上がりなのだ。
この弁当は大変人気があり、人それぞれで食べる順番や食べ方に作法があり、ネット上でもいろいろなこだわりが記載されている。そんな中で筆者が「これはうまい!」と思ったものは「鮪の照り焼き」を飯の上に乗せ、箸で細かく割き、ふりかけ状にしたところで「筍煮」「千切り生姜」「切り昆布」をすべて乗せてしまう。そして「シウマイ」や「かまぼこ」にかけて残った醤油をその上からまんべんたく垂らす。これが実に良い! 「これまでの食べ方は何だったのだろう?」と後悔するほど、別次元の美味しさを発見できた。まだやっていない方は、是非試してみてほしい。
弁当の最後に「玉子焼き」や「あんず」を食べれば、デザートそのものだ。後味も爽快でなんとも言えない満足感を得ることができる。
■ズバリ!このお弁当は買いなのか?
コスパが抜群によく、すべてが洗練されている。間違いなく買い。
■こんな人におススメ
ベジタリアンやビーガン以外のすべての方