【駅弁レビュー】「平泉うにごはん」

【駅弁レビュー】「平泉うにごはん」

中尊寺金色堂をコンパクトに再現、黄金色に輝く大人気弁当!

  • 価格:1,200円(税込)

    販売駅:一関駅 仙台駅 盛岡駅 東京駅など

    入手場所:東京駅「駅弁屋 祭」

    販売元:株式会社 斎藤松月堂

     

    項目

    内容

    ジャンル:

    海鮮系

    味の濃さ: 薄ー◆ーーー濃
    甘辛度: 甘ーー◆ーー辛
    全体量: 少ーー◆ーー多
    飽きにくさ: 飽ーー◆ーー良
    コスパ: 悪ー◆ーーー良
  • 小箱いっぱいに敷き詰められた海の幸。陳列されている際、大部分は帯で隠れてはいるが「うに」や「イクラ」が顔をのぞかせており、とても豪華に感じる。信号色を巧みに使っているため、彩り鮮やかでビジュアルが大変美しく、俗に言う“インスタ映え”する弁当といえるだろう。

     

    そんな弁当を製造・販売しているのは、岩手県一関にある創業明治26年の老舗弁当店「株式会社 斎藤松月堂」だ。この弁当は、首都圏でもいくつかの店舗で販売しているが、東京駅の「駅弁屋 祭」においては、常にベスト10に入る人気の駅弁となっている。

     

    朱色の箱はプラ製(底面は紙)だが塗り物のように豪華だ。透明のプラ蓋は輪ゴムで止められ、その周りに紙帯がグルっと巻かれている。

では、早速外観からチェックしていこう

  • パッケージ左側面は、原材料名等の記載である。着色料が少々多い印象だ。鮮やかな色は着色料によるものかもしれない。

     

    ~原材料名~

    ご飯(岩手県産米を使用)、蒸しうに、いくら醤油漬け、金糸卵、しその実とわかめの佃煮、山ごぼう醤油漬、調味料(アミノ酸等)、酸味料、ph調整剤、甘味料(ステビア、天草、ソルビット)、香料、着色料(黄4、青1、アナトー、赤大根、ベニハナ黄色素)、リン酸塩(Na)、酒精、保存料(ソルビン酸K)、トレハロース、(原材料の一部に卵、小麦、大豆、いくらを含む)

  • 右側面は、ご覧のとおりである。


  • 向こう正面及び手前側は同じ見た目だ。

  • 裏面はこんな感じになっている。

では、大きさをみていこう。

  • 重さは実測値で357gだ。


  • 350ml缶との大きさ比較である。実測値で縦幅・横幅共に11.5cm、高さは5cmであった。列車のかなり小さなテーブルでも食べることができる、超コンパクトサイズだ。


  • 外装写真と付属品類の写真である。ストローみたいなものは二段に伸びるスグレモノの箸である。


  • このスグレモノの箸は実に合理的で使いやすい。二段ストローと同じように引っ張ることでロックされ、なんと18cm超の箸に変身するのだ。はじめから割れているので変な割れ方もしないし、長さも良い。すべての弁当がこの箸になってほしいぐらいである。箸袋はビニール製で爪楊枝が同封されている。

では、弁当の中身をみていこう。

  • 透明のプラ蓋を開けると、具材とご対面だ。香りは全体的に出汁の匂いといった感じだ。生臭さ等はない。まず、手前に弁当の半分ほどを占めている「蒸しうに」である。駅などに貼られている商品説明用の写真では「箱うに」のようにきれいに整っているが、実際は「蒸しうに」が表裏・大小関係なく盛られているだけなので、決してきれいな見た目ではない。また、途中で欠けているものが殆どである。それでも見た目は「うに」の黄金色なので美しい。

  • 中央には「山ごぼうの漬物」が3切れ。その下にはバランが敷かれ、左奥から緑鮮やかな「しその実とわかめの佃煮」、中央奥には「錦糸卵」、右奥には「いくらの醤油漬け」という配置だ。ご飯は茶飯になっている。いろどりはとてもきれいで食欲をかきたてる。

     

    見た目の量は少なく、少々ボリュームが足りない印象を受ける。


  • 「蒸しうに」と「いくらの醤油漬け」のコントラストを含め、配置が素晴らしい!

では、それぞれについてみていこう。

  • まずは主役の「蒸しうに」である。黄金色の「うに」は、まるで中尊寺の金色堂をイメージさせ、全体でおおよそ35gほど使われている。香りはあまりなく、ごく僅かに出汁の匂いがする。口に入れると、うすい塩味で「うに」独特の味や、わずかな苦味が感じられる。

     

    見た目はしっとりとしているが、口の中ではボソつく感じだ。やはり「蒸しうに」であるため「生うに」のような濃厚さや甘さを期待すると裏切られるだろう。

    製造販売店のウェブサイトによると「蒸しうに」は「薄い醤油出汁で煮込んだ」とある。蒸しているのか煮込んでいるのかは不明だが、水分は抜けてしまいボソボソ感が目立ってしまっているのがもったいない。「うに」の旨さが流れ出てしまっている印象だ。

     

    飯と一緒に食べると味に深みが出てバランス良く仕上がる。食べ終わった後に口に残る味は、「うにあられ」を食べたあとのようである。せめて醤油でもついていれば、もう少し味の変化を楽しめ、万人向けになるのではないだろうか。

  • 続いて「いくらの醤油漬」だ。7~8mm大の「イクラ」が総量で9gほど使われている。「イクラ」は一粒も潰れておらず、香りは閉じ込められているため、ほのかに磯と醤油の香りといった感じだ。

    この「イクラ」の皮はとても薄く、一粒一粒がガラス玉のように輝いている。

    口に入れ、少し口を閉じるだけで連鎖反応的にプチプチと弾けていく。その瞬間に舌の上は「イクラ」のエキスでいっぱいだ。生臭さは殆どなく、とても上品な出汁を飲んでいるかのようである。この「イクラ」、かなり上質だ。

  • 「錦糸卵」である。ほのかに出汁が香る甘い匂いである。かなり細かめにカットされており、長さ6cm、横幅2mm、厚さは1mmで総量10gほどだ。これだけ細かいと口の中でフワフワと感じる。味は香りとは違い、甘味は殆どなく、塩味が立っている。

  • 次は「しその実とわかめの佃煮」だ。横幅3cmぐらいものが厚さ3.5mm程度に切りそろえられており、全体で9gほどだ。「わかめ」の茎をカットしたものであるため、肉厚で独特の食感が特徴的である。僅かにまとわりついたねばりが「わかめ」全体を多い、その透き通った姿が宝石のように美しい。

    佃煮らしく「シソ」の香りが立った醤油出汁の匂いがする。噛んだ瞬間はコリコリとしているが、途中からは「お新香」のような歯ざわりに変わっていく。最初は醤油と「シソ」の味だが、徐々に「わかめ」独特のえぐみがやってくる。歯ごたえが独特で酒のつまみにマッチしそうだ。弁当を食べ進める中で、時々かじってやると、とてもよい箸休めになり、この弁当に入っている理由がよくわかる。飯との相性も抜群だ。

  • 次は「山ごぼうの醤油漬」である。おおよそ3.6cmのそぎ切りで厚さ3mm程度のものが3切れ入っている。その名のとおり、醤油と土の香りだ。口に入れるとゴリッゴリッという強い噛みごたえで醤油出汁の味がするのだが、妙な苦味や人工的に作られたような甘みを感じ、この手の「山ごぼうの漬物」としては、今ひとつの味わいである。

  • 最後は「飯」だ。おおよそ260gほどあり、中~大の飯茶碗で一膳半ほどの量だ。器自体に高さがあるため、見た目よりも量があるのだ。飯は、出汁風味が漂うが、出汁は使わず、醤油、塩、調味料等で炊いているとのことだ。

    そのため、うっすら醤油の色付きがある茶飯に仕上がっている。気持ち柔らかめの炊き加減であるため、飯粒が崩れてしまっている部分も見受けられる。食感は、かなりもっちりしたもので食べごたえがあり、極めて薄味の具ナシ炊き込みご飯といった感じだ。

    総じて、この弁当は薄味のおかずで構成されているが、そのおかずと飯を一緒に口に入れることで口内調理がされ、味が完成する印象を受ける。具と飯を口にいれるベストなバランスは各自が見つけ出してほしい。

■総評


  • 見た目は超豪華だ。「イクラ」は特に質が高い。具材全てがこの「イクラ」だったらリピーターになるだろう。

    ただ、看板の「蒸しうに」はきれいに並べられた「箱うに」や「塩水うに」などとは違い、細かく千切れた部分などが無造作に並べてあるため、見た目はイマイチだ。味に関しても「生うに」に比べれば、数段劣り、食べてもこれといった感動はない。むしろ、パサツキやボソボソ感などが目立ってしまい、最初に思い描いていた期待は裏切られてしまう。

    「イクラ」と「うに」以外の具材は、付け合せ的なものになるため、1,200円の弁当と考えると少々微妙な感じではある。今後の改良によって淡白な「蒸しうに」に濃厚さ等をプラスできれば、この弁当の印象は全く違うものになるのではなかろうか。今後の改良に期待したい。

     

    ■ズバリ!このお弁当は買いなのか?

    食べたことがない方であれば、話の種に食べてみるのはアリだろう。

     

    ■こんな人にオススメ

    海鮮弁当が好きな人、「イクラ」好きな人、インスタ映えする弁当の写真が撮りたい人

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