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日本の春を代表する花、桜。
今回の舞台は、日本の中で、最も早く桜の中を疾走する、JR九州・肥薩線の「SL人吉」です。
通称「川線」とも呼ばれる肥薩線ですが、特に八代駅~渡駅間では、熊本を代表する河川・球磨川と並行して線路が続いており、春になると桜の花が随所で咲き誇ります。
また、「SL人吉」は他のSL路線と比べて、停車時間が長い駅が多いことも特徴。
今回は、往路・復路共に乗り鉄情報をリポートすると共に、停車中でも撮影できるスポットを紹介していきたいと思います。
【SL登場~出発まで】
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今回の旅の起点は、熊本県のターミナル駅である熊本駅。
9時30分頃、SLと客車をけん引したDL・DE10形が入線してきました。
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発車を待つSL 8620形(通称ハチロク)58654号機。
国産初の旅客用SLであり、本機は435番目に製造されました。製造は大正11年(1922年)で、日本各地を走るSLの中では最長寿の車両です。
発車までの間、最初の撮影タイムです。
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客車は3両編成。
先頭車両と最後尾車両の車端には、ガラス張りの展望スペースが確保されています。真ん中には、子供用のかわいい木製椅子も。
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開店前の2号車カフェ。
プラレールをはじめ、商品が所狭しと積み上げられています。
【人吉へ向けて出発!】
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9時45分、8620形独特の甲高い汽笛を合図に、定刻通りに熊本駅を発車しました。
新八代駅での短時間停車を経て、10時30分に八代駅到着。36分の発車まで撮影タイムを楽しめます。
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八代駅発車後、まずは進行方向右手側に球磨川が見えてきます。
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だんだんと山深くなってきました。
球磨川の色は、山の緑を映したかのようなエメラルドグリーンです!
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坂本駅での短時間停車の後、列車は球磨川第一橋梁を通過します。
球磨川第一橋梁を通過後、今度は進行方向左手側に球磨川が見えます。
【木造駅舎と桜、そしてSL】
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11時18分、白石駅に到着です。
ここでは23分の発車まで、5分間の停車時間があります。
まずはSL降車側ホームから撮影。
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SL前方の線路を渡り、反対側ホームから撮影。
車両後方の桜とセットで撮ることができます。
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白石駅には、明治時代からの木造駅舎がそのまま現存しています。
ノスタルジックな雰囲気を味わえることでしょう。
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白石駅発車後、今度は11時38分に一勝地駅に到着し、48分まで10分間停車します。
白石駅と同じく、下車側ホームからの撮影の他、反対側ホームからの撮影も可能です。
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こちらもレトロ感が漂う木造駅舎です。
なお一勝地駅では、その名前にあやかり、「まずは一勝を」という意味での必勝祈願のお守りを購入できます。
【人吉駅到着】
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一勝地駅出発後は、渡駅での短時間停車を経て、12時9分に終点・人吉駅に到着します。
なお、途中の西人吉駅付近には、進行方向左側に線路に沿って桜並木があり、SLが桜の中を疾走する姿を撮影できる、全国的に有名な撮影地があります。
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人吉駅では、整備のために機関車庫へ移動するまで、およそ20分間停車します。
そのため、あらゆる角度からの撮影を満喫することができます。
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12時30分頃、SLは整備のため、客車と共に一旦人吉駅を離れ、バック運転で車庫に向かいます。
その際、駅のホーム端から撮影。国内唯一の現役石造車庫と共にモノクロで撮影。往年を彷彿させる写真となりました。
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機関車庫にて、石炭補充及び整備を行い、復路に備えます。
雰囲気を出すため、ここもモノクロで撮影。
【しばし休憩】
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機関車庫から線路を挟んだ場所には、「人吉鉄道ミュージアム」が併設されています。
人吉駅出発までの時間、子供たちが中の遊具で遊べる他、SLを上から撮影したり、備え付けのテーブルで昼食をとることができます。
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SLが石炭・水を補充している間、筆者もしばし昼食タイム。
満開の桜の下で、熊本駅で購入した駅弁「鮎屋三代」(税込1,250円)を頂きます。
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「鮎屋三代」の中身。
球磨川名物の鮎は甘露煮にしてあり、頭から尻尾まで、全部食べられるほどの柔らかさです。ただ、これで1,250円は、ちょっとお高めという感じです。
【方向転換】
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14時頃、機関車庫の横にある転車台を使い、SLは熊本方面へ向きを変えます。
今回は転車台から西人吉方面へ、100mほど離れた踏切付近から、200mm望遠レンズを用い、SLと桜、転車台を交えた写真を撮影しました。
なお、転車台にはすぐ近くまで近づくことができ、間近でSLが回転する様子を見ることもできます。
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同じ踏切付近からは、人吉駅へ移動するSLと客車を撮影することもできます。
【いざ熊本へ】
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復路の「SL人吉」は、14時38分に人吉駅を出発します。そして渡駅での短時間停車の後、14時57分に一勝地駅到着。往路と同じく、ここでも10分間停車しますので、撮影やお守り購入の時間として最適です。
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運転室内の投炭風景を撮影。
出発が近づくと大量の石炭を釜に投げ入れ、発車時に必要な蒸気を作ります。
【桜とのコラボ撮影】
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一勝地駅出発後は、15時22分に白石駅到着です。
ここでは8分間停車しており、その間に人吉駅行の普通列車とすれ違います。
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下車側のホームからは、向かいのホームの桜とSLを絡めた写真を撮ることができます。
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反対側のホームからも、桜とSLを絡めた写真を撮ることができます。
ピントを桜に合わせるか、SLに合わせるかも、撮影における楽しみの一つです。
【最後の長時間停車】
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白石駅出発後は、15時57分に坂本駅に到着です。
往路では短時間の停車でしたが、今度は特急「かわせみ やませみ」との待ち合わせのため、16時8分まで11分間停車します。
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この季節、坂本駅でのSLは、側面が西日で照らされます。
ここが最後の長時間停車となるため、黒光りするSLを、しっかりと撮っておきたいところです。
【そして終点・熊本駅へ】
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坂本駅出発後は、八代駅・新八代駅共に、停車後すぐの発車です。
西日に照らされながら、2号車カフェスペースにて、車内販売の「晩白柚子(バンペイユ)サイダー」で喉を潤します。
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そして17時14分、列車は復路終点の熊本駅に到着です。
右横には一足先に到着した「特急 A列車でいこう」が停まっています。
夕陽を浴びた2車両を撮影。
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「SL人吉」で桜を巡る旅、いかがでしたでしょうか?
熊本県では「SL人吉」の他にも、
・特急 かわせみ やませみ(熊本駅~人吉駅)
・特急 A列車で行こう(熊本駅~三角駅)
・熊本市電(市内を走る路面電車)
等、様々な鉄道を楽しむことができます。
それでは、よい「鉄分」を!
撮影・文章 南谷信仁