-
「ドクターイエロー」とは、新幹線の線路や架線を検査しながら走行する、点検作業のためにつくられた特別な車両です。正式名称は、「新幹線電気軌道総合試験車」といい、車体の色が黄色いことから「ドクターイエロー」という愛称で親しまれています。
走行する時刻は公開されていないため、見ることができるとラッキーだと言われ、縁起物のように扱われています。いつ見られるか分からない、ミステリアスな黄色い新幹線ですが、実は確実に見られる方法があるんです。それは……
-
JR東海 浜松工場で毎年開催される、「新幹線なるほど発見デー」に参加すると、ドクターイエローに出会えるんです。普段はいつ見られるか分からない、出会えるとラッキーな黄色い車両をじっくりと見るチャンスです。
2017年に行われた「新幹線なるほど発見デー」のイベントでは、JR東海の発足30周年を記念し、現役運転士が子供たちに運転の仕組みを教えてくれる「ドクターイエロー運転台で運転士お仕事体験」という特別なプログラムも行われました。
-
他にも、新幹線の先頭車両を研ぐための「先頭車砥ぎ装置」という作業ロボットの実演が行われ、巨大なロボットアームが複雑な形をした車両表面を薄く正確に削っているのを来場者が驚きの声を上げながら見学していました。
-
新幹線を塗りなおす際、車体の表面を少し削ってザラザラにする必要があります。以前はこの作業は人力で行われていましたが、2016年に導入されたこのロボットによって、より効率的に、かつ安全に作業ができるようになったということです。
-
「新幹線なるほど発見デー」が開催されているJR東海 浜松工場は2017年1月にリニューアルされ、今回のイベントでは新しくなった工場施設や機器・設備なども公開されていました。とても広いので、イベント会場をぐるりと巡るだけで2kmもあります。
-
新幹線が走る線路をメンテナンスする作業は、主に夜間に行われます。東京から大阪の区間で、毎晩2000人もの人が働いているそうですよ。イベント会場では、普段はあまり見られない作業車や延線車を使った保守作業のデモンストレーションも行われていました。
-
マルチプルタイタンパー、通称「マルタイ」と呼ばれるこの車両は、レールの下に敷き詰められているバラスト(石)を、振動する棒状の「ツール」を差し込むことで隙間を詰めて線路をうまく補正して、安全な状態を保つ役割があります。このように、線路の安全を守るにはいろいろな保守用車両やたくさんの人たちが関わっているんですね。
-
とにかく会場が広いです。また、晴れると日中はかなり暑くなるので、十分な水分補給と帽子の着用をおすすめします。会場内に休憩所や食堂もあるので活用してください。ペットボトルの飲み物や、軽食も売っています。普段は工場に勤務する人たちが利用してる食堂も、このイベントの日は一般の人が利用することができます。メニューは、カレーや麺類、カキ氷など。
-
最寄の浜松駅から、「新幹線なるほど発見デー」の会場であるJR東海 浜松工場までは、5分から10分おきに無料のシャトルバスが運行しています。ただし、時間帯によってはかなり長い行列ができるので、タクシーを使うか、あるいは比較的空いている有料の路線バスに乗るという方法もあります。
-
毎年、1万から2万人の人たちが訪れるという「新幹線なるほど発見デー」。イベントのプログラムによっては、事前予約制の場合があるので、訪れる際はあらかじめ公式ホームページなどで情報をチェックをしてから行ってみると良いです。
日本が世界に誇る新幹線。そのスムーズで安全な運行を支えるために、本当にたくさんの人たちが関わっているんですね。
ライター:Tomaki Maeda