西武の中古車両が元気に走る近江鉄道
-
「三方よし」のフレーズで知られる近江商人。近江商人発祥の地を走るローカル線が近江鉄道です。今回は近江鉄道の一日乗車券「1デイ・スマイルチケット」を使って、モダンな名建築をめぐる旅に出かけてみました。
近江鉄道は滋賀県の米原駅~貴生川駅の本線、高宮駅~多賀大社前駅の多賀線、近江八幡駅~八日市駅の八日市線から成るローカル線です。JR琵琶湖線とは米原駅、彦根駅、近江八幡駅で、JR草津線、信楽高原鉄道とは貴生川駅で接続しています
-
近江鉄道の特徴は関西にも関わらず、埼玉県所沢を本拠地とする西武鉄道の車両が走っていること。近江鉄道のバスも西武のライオンズカラーです。実は西武鉄道の創業者である堤康次郎氏は滋賀県愛知郡の出身。つまり、堤康次郎氏は正真正銘の「近江商人」です。そのため、近江鉄道は西武グループに入っています。
映画に出てきそうな赤屋根の駅、鳥居本駅
-
鳥居本駅を少し離れたところから見ると、本当にメルヘンチック。映画に出てきそうな感じがします。ポイントは赤屋根と全く手が加えられていないことです。鳥居本駅の駅舎は1931年(昭和6年)の開業時に建てられました。また、鳥居本駅では長時間コンサートも行われました。
-
駅舎の中もモダンな雰囲気が漂います。特に丸型の窓枠には注目したいところ。このような昭和初期のモダンな建築スタイルを持つ駅舎は急速に姿を消しています。その中で鳥居本駅の駅舎は貴重なものといえるでしょう。
「東洋一の小学校」豊郷小学校旧校舎群を訪ねて
-
再び鳥居本駅から貴生川行きに乗り、豊郷駅に行きました。JR琵琶湖線との接続駅、彦根駅から学生を中心に多くの乗客が乗り込み、車内は活気ある姿に。全国的に苦戦が伝えられているローカル線ですが、近江鉄道が地元から愛されていることが肌で感じ取れた瞬間でした。(写真は米原~フジテック前)
-
そのような豊郷町のシンボルが「東洋一の小学校」と言われた豊郷小学校旧校舎群です。豊郷小学校旧校舎は1937年(昭和12年)、丸紅の専務であった丸川鉄次郎氏の寄贈によって建てられました。設計者は建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏です。豊郷小学校の旧校舎は当時としては珍しい鉄筋コンクリートで建てられ「東洋一の小学校」「白亜の教育宮殿」と言われました。2013年に国の登録有形文化財に指定されています。豊郷駅から歩くこと約10分、大学のキャンパスを思わせる豊郷小学校旧校舎に着きました。均整のとれた白色の建物は宮殿のよう。とても、小学校には見えません。
-
ところで、豊郷小学校旧校舎はアニメ「けいおん!」の舞台となったところです。そのため、校舎には「けいおん!」にまつわるさまざまなグッズが置かれていました。なお、豊郷小学校旧校舎は町立図書館や地域のセンターといった複合施設に利用されています。旧校舎内は自由に見学できます。また、周辺には伊藤忠兵衛の旧邸を利用した伊藤忠兵衛記念館があります。合わせて訪れるといいでしょう。
近江鉄道の乗り方
-
近江鉄道はワンマンで運行されており、多くの駅が無人駅です。無人駅では2両編成であっても、1両目の両端のドアしか開きません。無人駅で乗る場合は、ホームにある「乗車位置」で電車を待ちましょう。なお、無人駅で降りる場合は1両目の1番前のドアを使います。
-
近江鉄道の旅にピッタリな切符が「1デイ・スマイルチケット」です。このきっぷは全線乗り放題となっています。料金は大人880円、子供440円です。ただし、金曜日、土曜日、日曜日、祝日(年末年始を除く)のみの販売です。
それでは、みなさんよい「鉄分」を!
ライター:新田浩之