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今回は東京・葛西にある「地下鉄博物館」をレポートします。「地下鉄博物館」は公益財団法人メトロ文化財団が運営する博物館。東京の地下鉄の秘密がわかるステキなスポットです。
この「地下鉄博物館」の最寄り駅は東京メトロ東西線・葛西駅。葛西駅から「地下鉄博物館」までは徒歩数分の距離。ちょうど、高架下にあります。
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入場券を購入し、まず目に入ってくるのは地下鉄丸ノ内線300形301号と銀座線1000形1001号電車です。赤がまぶしい301号は1954年(昭和29年)生まれ。当時の最先端の技術を結集した車両です。301号は今日では当たり前となっている両開きの自動ドアを初めて本格的に採用。また、ブレーキシステムはニューヨーク地下鉄の技術を取り入れています。
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そして、丸ノ内線のシンボルとなった「サインウェーブ」を採用したのも300形から。1996年(平成8年)に現行の02系に統一された際に「サインウェーブ」は消滅しましたが、02系のリニューアルと同時に「サインウェーブ」が復活しています。
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車内は昔の地下鉄車両を思わせる雰囲気。赤のシートはふかふかしており、現在の車両にはない独特の座り心地が楽しめます。車内にはレトロな非常灯もついていました。
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例えば、レール横にあるサイドレールから電気を取り入れる「第三軌条」を採用しています。なお「第三軌条」は東京メトロでは銀座線、丸ノ内線で使用。もちろん、全国の地下鉄でも採用されているポピュラーな技術です。
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ところで、日本初の地下鉄路線である銀座線には自動改札機が設置されました。現在のようなシステマチックな機械ではなくターンテーブル式のアナログなもの。右側にある青色の箱にお金を入れ、そのまま入場する仕組みです。
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さて、地下鉄を建設する際に用いられる機械がシールドマシンです。シールドマシンは一言で表すと「人工モグラ」。1日6mのペースで掘り進んでいきます。一言で「シールドマシン」といっても、地盤やトンネルの形状により様々な種類があります。環境に応じて選んだシールドマシンを最大限活用することが地下鉄建設の肝といえるでしょう。
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普段、地下鉄を乗っている際に見かけるサイン。実はサインも進化していることをご存じでしょうか。こちらの展示パネルでは東京メトロのサインの変遷を紹介しています。上が昭和40年代後半に設置されていたサイン、下が2004年(平成16年)以降に用いられているサインです。現在用いられているサインは外国人観光客に対応するために、ローマ字やナンバリングが使われています。また、東京メトロだけでなくJRや私鉄の乗り換えが案内され出したのも2004年から。今後、東京メトロのサインはどのように変化するのでしょうか。
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これが129号電車のモーターです。モーターは車軸と台車枠に取り付けられています。この駆動方法を「吊り掛け駆動」といいます。かつて「吊り掛け駆動」の車両は全国各地で見られましたが、現在ではほとんどありません。「吊り掛け駆動」の特徴は音。モーターが動くと「グォーン」という重々しい音が聞こえます。この音は歯車が噛み合った際に発生します。
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左側がマスコン、右側がブレーキです。東京メトロではATC(自動列車制御装置)を採用。運転台では出さなければならない速度が表示されます。運転手は表示される速度を参考に運転するわけです。地下鉄は意外とカーブや急勾配が多く、速度を一定に保つのが大変! 何回もマスコンを使いました。シミュレーターには親切な「教官」がいるので、誰でも無事に駅に電車を止めることができます。
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今回の記事では地下鉄博物館の「一部」を紹介しました。地下鉄博物館は鉄道好きにはたまらない場所。これだけ楽しめてなんと入場料は大人:210円、こども:100円!
ぜひ、週末に訪れてみましょう。
というわけで、よい「鉄分」を!
ライター:新田浩之