昨日千葉県に上陸した台風15号ですが、千葉や羽田空港、横浜では観測史上最高となる風速を観測し、首都圏に大きな爪痕を残していきました。
鉄道各線も例外ではありません。これは昨日のお昼過ぎの列車運行情報。
多くの首都圏各線が、大幅遅れもしくは運転見合せとなっております。
ちなみに夕方18時頃でも成田方面は復旧のめどが立っておりませんでした。
特に千葉の東部で大きな影響が出ておりまして、成田空港でも17,000人が一時足止めされたとのこと。
そして、例外ではなかったのが総武線沿線の各駅。
特に津田沼駅は改札口までの長蛇の列がニュースで取り上げられ、一躍有名になりましたが、
今回は、総武線各駅停車しか停車しない駅をレポート。
下総中山駅であります。
こちらも10時前の写真ですがこのように入場規制がかかっておりました。
総武線各駅停車は動いているようですが、一向に来る気配がありません。
理由は明確で、ニュースでは総武線快速が運転再開見込みが立たず、東西線、京葉線が10時まで運転見合わせとあり、その近隣の通勤通学客が一斉に総武線各駅停車になだれ込んだことが大きな要因。また午後からは振替乗車で乗車できましたが、このときは「振替乗車はありません」とのアナウンスも大きく、混雑に拍車をかけることとなりました。
「8時まで運休」は「8時から運行開始」の告知ではない。
さらに今回混雑に拍車をかけたのが、
- ●始発から8時まで運転を見合わせます
との告知。
このこと自体は英断ですし、当日の混乱を避けるためにも必要な告知だったと思いますが、このJRの告知を
- ●8時過ぎに行けば電車に乗ることができる
と考えてしまった方が多いように感じました。
しかし考えてみてください。8時台は通常の平日ダイヤであれば、ほぼすべての駅でラッシュ時がピークを迎えております。その時間帯にいきなり3分とか4分間隔で列車が一斉に動き出すことは不可能です。ですのでどうしても8時まで運転を見合わせということはそこから仮に開始しても車庫から列車がすべて出るには時間がかかるわけですから、すぐダイヤどおりに運行することはまずありません。
そこに今回は近年まれに見る大きな台風が直撃したので、実際には8時に運転を開始できた路線が少なく、8時過ぎに駅到着を目指して通勤する人の行き場が結果的に無くなって、駅からあふれ出してしまったようです。
また、通常の平日のラッシュで7時台と8時台にこれだけの本数がすべて満員電車で発車するだけの人が乗る路線が、10時に仮にきっちり動いたとしても全員乗車できずにホームや改札にあふれることは容易に想像できますよね。
なぜ、そこまでして会社を目指すのか。
今回はここが一番の問題であります。
それは今回の通勤時間帯が
- ●台風が直撃している時間帯
ではなく、
- ●台風一過の時間帯
だったことも要因ではないでしょうか。
今回レポートした下総中山駅ですが、ホーム上は人ごみであふれかえっていますが、上空は青空も覗いておりました。飛行機も飛んでいるのが分かります。
つまり、
- ●上空は明るくすっきり
- ●ホームは暗くどんより
という状況なワケです。
これが台風直撃のときであれば、だれも駅まで行こうとか思わないはずです。
ただ、これだけ青空が見えていると、オフィスが東京にある場合はオフィス所在地もすでに台風一過で晴れているわけで、
- ●歩いたり、自転車で通うことができる職住接近の皆様
- ●車で送迎付きの役員の皆様
からすると、
- ●「こんなに天気がよくって電車も復旧しているというのに何で会社にこれないの?」
という疑問になるわけです。(まあ今回は道路も大渋滞だったようですが)
ですが、今回は特に千葉方面から都内に来る路線がほぼ全滅だったこともあり、その晴れた天気の元では、総武線各駅停車のホームに人があふれ、
電車が来てもすでに満員で乗ることが出来ず、次の電車を待つ、という状態が繰り返されているわけです。
このような
- ●天気は台風一過で快晴
- ●だけど通勤は阿鼻叫喚
という、矛盾があるなかで、「出社しないように」という指示ではなく
- ●自己判断で出社
- ●無理をしないでいいよ
という、会社の方針だと、勤勉な日本人は這ってでも行かなければと思ってしまう人が多いように感じます。
なので、むしろ会社は「台風直撃」時よりも「台風一過」時に気を配って出社はしないでくださいとの判断をしてあげたほうが、混乱が少なくなると思われます。
- 「晴れているのに会社に出社しない罪悪感」
を払拭する対応を会社側がしてあげないと、今後も同様の混乱が続くと思います。
今回は終日横須賀線・総武快速線はダイヤが乱れておりました。ただしこれもこの路線を利用する人しかわからないことですよね。
ぜひ、経営者の皆さんは
- ●みんなが出勤をあきらめる台風直撃時
よりも
- ●みんなが出勤をこころみる台風一過時
に気を配ってあげてくださいませ。
おまけ
今回は皆さん台風の影響というのも分かっていたようで、だれも駅員を問い詰めたり、怒号がとんだりというシーンに出会いませんでした。
JRの職員の皆さんは復旧に向けてがんばっていますし、暑い中で駅で案内している職員の皆さんに食ってかかっても電車は速くならないですしね。
こういったときの案内や待つ側のマナーもとても大切だなあと感じた次第です。
というわけで、よい「鉄分」を!