新駅、JR総持寺駅の概要
-
今回は2018年3月17日(土)に開業するJR総持寺駅を取り上げます。JR総持寺駅の近くには阪急京都線、総持寺駅と茨木市駅があります。つまり、JR総持寺駅が開業することにより、阪急とJRとの競争が激化することが予想されます。今回は現地レポートを基に阪急とJRとの対決を考察します。
最初にJR西日本の新駅、JR総持寺駅の概要を確認しておきましょう。JR総持寺駅はJR京都線(東海道本線)の摂津富田駅から1.7kmと、茨木駅から2.0kmの地点にできます。
ホームは内側線に挟み込まれる島式ホーム(1面)。ホームは8両編成に対応しています。また、開業当初からホーム柵が取り付けられる予定です。遠目からホームを確認しましたが、すでにホーム柵らしき物体がホーム上にありました。もちろん、エレベーターやエスカレータも設置されます。
現在のところ、JR総持寺駅には普通電車が停車する予定です。快速電車、新快速電車は通過となります。快速電車は茨木駅に止まるので、JR総持寺駅に止めてしまうと連続停車になってしまいます
JR総持寺駅と阪急総持寺駅の比較
-
JR総持寺駅から半径約500m圏内に、阪急京都線の総持寺駅があります。JR総持寺駅から阪急総持寺駅までは徒歩10分ほど。乗換駅としては機能しませんが、阪急総持寺駅の利用者がJR総持寺駅に流れることは想定できます。
それでは、JR総持寺駅と阪急総持寺駅、どちらが便利でしょうか。開業前ですが、さっそく比べてみましょう。まずは、大阪方面の昼間ダイヤを調べてみます。
【JR】JR総持寺駅⇒大阪駅
所要時間:19分(予想)、料金:260円(予想)、列車本数:8本、乗換回数:0回
【阪急】総持寺駅⇒梅田駅
所要時間:24分、料金:270円、列車本数:6本、乗換回数:1回
この結果を見ると、JRの圧勝に思えます。大阪・キタでしたら、JRに流れる住民が多いでしょう。ただし、阪急は大阪市営地下鉄堺筋線と相互直通運転を実施しています。天六や北浜へは阪急が圧倒的に便利です。JRですと、どうしても複数回の乗換が必要になります。近年、阪急が地下鉄堺筋線のアクセスを強化している背景には、このような事情があるのです。
次に京都方面の昼間ダイヤを見ていきましょう。なお、阪急は京都駅の真北にある烏丸駅を選んでいます。
【JR】JR総持寺駅⇒京都駅
所要時間:23分(予想)、料金:390円(予想)、列車本数:8本、乗換回数:1回
【阪急】総持寺駅⇒烏丸駅
所要時間:30分、料金:320円、列車本数:6本、乗換回数:1回
JRと阪急との時間差は7分ですが、ポイントは阪急が京都の中心地、四条通りの地下を走ること。京都駅から四条通りへは京都市営地下鉄烏丸線に乗る必要があるので、京都方面は阪急に分があります。ただし、京都駅周辺も開発が進んでいるので、阪急もウカウカできないのが現状ですが。
JR総持寺駅は阪急茨木市駅の利用者も食う?
-
実は、JR総持寺駅は主要駅である阪急茨木市駅の利用者も奪うことが考えられます。JR総持寺駅から徒歩数分のところに、エレベーターメーカー、フジテックの近畿統括本部があります。その前にあるのが近鉄バスのバス停「総持寺口」です。
-
「総持寺口」の時刻表を見ると、昼間は15分間隔で運行されていますが、4本のうち3本は阪急茨木市駅止まり。JR茨木駅へは1時間に1本しか行きません。JR総持寺駅が開業すると、フジテックの社員の多くがJR総持寺駅を利用することが考えられます。
もちろん、この近鉄バスを利用している住民の多くがJR総持寺駅にシフトすると思いますね。そうなると、茨木市駅の乗客は大幅に減るでしょう。
JR総持寺駅開業からわかる阪急、JRの戦いの構図
-
長らく、阪急とJRは大阪、京都間の直通客をめぐって戦ってきました。転機を迎えたのは、2001年に行われた阪急のダイヤ改正。このダイヤ改正で阪急は特急の停車駅を大幅に増やし、直通客重視から中間駅からの利用者確保にシフトしました。
一方、JRも島本駅(2008年)、桂川駅(2008年)と新駅を開業させ、中間客の新規開拓に励んでいます。これからは中間駅での利用客の奪い合いが激しくなるでしょう。設備面で劣る阪急としては、JRが手出しできない地下鉄堺筋線への利用客を確実に確保したいところ。今後の改正も地下鉄堺筋線とのアクセスを重視するのではないか、筆者はそのように考えています。
ライター:新田浩之